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夢であえたら・・・5

そして、そのままベッドに入った。眠ればきっと会えるだろうと思ってのことだ。

不思議なもので眠ろうとしても、なかなか眠れない。

眠ろうと思えば思うほど色々な事を考えてしまう。

おばあちゃんのこと、お姉ちゃんのこと、父親のこと、おかゆのこと…

結局そのまま朝を迎えた。

昨日の事が嘘みたいに思えるような青空といつのまにか熱もひいたことで僕は妙なテンションになっていた。

冷たいままのおかゆを食べ、会社に電話して三日目の休みをとった。

「おばあちゃんに会いにいこう」

僕は車を飛ばした。実家に着くと親戚一同が集まっており、その中心にはおばあちゃんが眠っていた。

今にも起きてきそうな顔が僕には辛かった。

父親はお通夜と葬式の段取りで忙しそうにしていた。

僕を見つけるとなんとも言えず悲しくて、そして少し腫れた目をして微笑んだ。

もともと僕は親戚連中とも仲がよかったわけでもなく、居場所を見つけるのに家の中をウロウロ徘徊した。

家を出てから僕の部屋は物置になっていた。

自分の部屋がなかったので、僕の思い出の品は全ておばあちゃんの部屋で保管されていた。

昔のアルバムや文集がビックリするほど綺麗に保存されていた。

アルバムをめくっていると、一枚の写真が僕の目に飛び込んで来た。

小さい僕とおばあちゃんの2ショット写真だ。

僕が目を引いたのは写真の中のおばあちゃんの若さではなく、おばあちゃんの頭にまかれた包帯だった。

僕には全く記憶にない姿だった。


            つづく・・・・・・・・・・














夢であえたら・・・4

僕には母親と思える人はいなくなった。

結局、最後までおばあちゃんに対しては本音でぶつかることはなかった。

お互いに遠慮し合い、お互いに嫌われることが怖かったのだろう。

僕は掴み所のない絶望感を感じながら、おばあちゃんの顔を思い出していた。

こんな時ドラマでは楽しい思い出の回想シーンが流れるはずなのだが、おばあ

ちゃんの顔が思い出せない。

イメージでのおばあちゃんしかでてこない。

おばあちゃんが母親になってから僕は正面を向いて目を見て話しをしてなかっ

たことに今さらながら気付いた。

それから泣いた…。

本当なら今すぐにでも会いに行くところなのだが、僕は罪悪感と後ろめたさで

行けなかった。

「ごめんなさい」と実家の方向に手を合わせて、また泣いた。

テーブルの上のおかゆは冷めていた。

「あの声が聞きたい」僕はそればかりを考えていた。

現実から逃げたかった。

小学生の僕もきっと現実からにげたかったのだろう…。

お姉ちゃんは僕が創りだした自分の精神の均衡を保つ為の一種の道具だったの

だろうか…。

それならそれでいい。

僕はただお姉ちゃんの声が聞きたかった。




            つづく・・・・・・・・・




夢であえたら・・・3

あれから15年・・・・

久しぶりに夢で聞いたお姉ちゃんの声は、あの頃のままだった。

僕は15年の時間とともにお姉ちゃんの存在を忘れてしまっていた。

あいかわらず高熱は続いている。昨日から何も食べていない。

「何か食べんとあかんわ・・・」

思い切って体を起こし、買い置きしてあったレトルトのおかゆをレンジで温めた。

風邪をひいたときに食べるおかゆは母親を思い出す。

僕が小学校入学した頃に母親は死んだ。病気だったらしい。

両親が共働きだったため、母親と一緒にいた思い出というのは僕が病気にかかった時のものしかない。

他にもあるはずなのだが、そのときに必ず作ってくれたおかゆの思い出だけが強烈に残っている。

それから僕の母親はおばあちゃんだった。小さくして母親を亡くした僕を思いやってか、

おばあちゃんは本当に母親になろうとしてくれた。

僕はそんな姿を見て子供ながらに気を使っていた。ワガママを言いたいがおばあちゃんを困らせては

いけないと我慢したり、かなりいい子になろうと頑張っていた。

やはり、母親は母親であってこの世に代役できる人は存在し得ないのだ。

反抗期も経験せず、ほとんど困らせることもなく僕は大人になった。



トゥルルルルルルルルル・・・・・・・・

トゥルルルルルルルルル・・・・・・・・



おかゆが温まったのと同時に電話が鳴った。

「もしもし・・」

久しぶりに声を出したのと、風邪のせいではっきり声が出なかった。

「もしもし、俺やけど元気か?」

久しぶりに聞く父親の声だっだが、あきらかに疲れた声だった。

「風邪ひいて寝てた。どうしたん?」

レンジのおかゆを取り出しながらいった。

「さっきおばあちゃんが死んだ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

僕は頭が真っ白になった。これは風邪のせいではなかった・・・・


                     つづく・・・・・・・

夢であえたら・・・2

僕の初恋は小学六年生の頃だった。

愛とか恋とかはまだ知らなかったが、ただ大好きだった。

毎日その子に会う為に僕は夕御飯を食べるとすぐにベッドに入った。

夢の中で会う為に…。

その子は、どこに住んでいるのか、いくつなのか、どんな名前なのか、僕はなんて呼

べばいいのか知らなかった。

いや、その時の僕には別にそんな事はどうでもよかったのだろう。会えればよかった

から。ただ、何故か僕はお姉ちゃんと呼んでいた。

お姉ちゃんには夢の中でしか会えなかったが、毎日会うことができた。

初めて会った日の事は覚えていない。

いつからか夢で出会い、いろいろ話すようになっていた。

会う場所はきまって近所の駅のホーム。僕が電車を待っているとお姉ちゃんは電車に

乗って会いにきてくれた。

ベンチに座りいろんな話しをする。

同級生の話しや、今日の給食がまずかったなど…。

僕はお姉ちゃんの笑顔が見たくてしゃべりまくっていた。それを見てるのが心の底か

ら楽しかった。

お姉ちゃんは僕に色々な事を教えてくれた。

音楽のこと、映画のこと、いろんな遊びのこと、最近読んだ本のこと…。

僕は話しの内容より、それを話している声が大好きだった。



                     つづく・・・・・


夢であえたら・・・1

僕は夢を見ていた。いつもの通勤の風景。いつもの朝のラッシュ時の光景があった。

そして、僕は何故かいつもの電車を乗り過ごした。しばらくして別の電車が来た。

「この電車に乗らないと」

不思議な強迫観念にかられながら扉が開くのを待っていた。かなり焦っていた。

僕をジラスかの様に電車は静かに停車していた。

「早く乗らないと・・」

だんだん焦る気持ちが高まり、苛立ちさえおぼえだしたころ、

「この電車乗ったらあかんよ・・・・」

僕の後ろで女の子が言った。その声は、僕の焦りや苛立ちを瞬間的に消してくれた。

とても懐かしく、そして暖かい声だった。季節でいえば春みたいなそれだった。

結局その電車には乗ることもなく僕は目覚めた。

ちょうど2日前から風邪をひいてしまい、僕は会社を休んでいた。

久しぶりの休暇だが、高熱のため何の楽しみもない最悪の休暇だった。

一人暮らしのうえ彼女もいない男にとってはこんなにつらい日は他にあるだろうか?

今の僕に必要なものは、ビタミンCではなく一緒にいてくれる彼女だろうと思いなが

らタバコを一服。

僕を苦しめる熱は下がる気配は無い。

高熱にうなされての一服はなんとも言えず不味い。

ふとさっきの夢を思い出した。あの声をもう一度聞きたい。そう思わせるような声だ

った。

どこかで聞いたことがあるが思い出せない声。それを聞くとやさしくなれる声。

僕は昔この声を毎日聞いていた・・・・・・・・・・



                             つづく・・・・・・